コールセンターのクレーム対応が大変で困っていませんか?
など厄介なクレームに頭を悩ませていないでしょうか。
そこでこの記事では、コールセンター歴15年で元センター長の僕がクレーム対応のコツを徹底的に解説します。
クレーム対応というと、特殊なスキルが必要に思われがちですが、実はそんなことありません。
これから解説するクレーム対応の基本さえ押さえておけば、ほとんどのクレームは解決できますよ。
ぜひ最後まで読んで、つらく苦しいクレーム対応に追われる日々を終わりにしてくださいね!
そもそもクレームとは何か?
クレームは、「要求」を意味する英語です(claim)。
本来は、権利として当然の要求や主張をする時に使う言葉ですが、最近では企業側に落ち度がないような場合や、不当な要求(犯罪やパワハラ)も含めてクレームと呼ばれていますね。
また、似たような言葉に「苦情」がありますが、こちらは不満を表明するだけの行為も含まれるため、微妙に意味が違います。
ただし、クレーム対応において苦情とクレームを厳密に分ける必要性は特にないため、クレーム≒苦情と考えておいても問題はありません。
そのため、要求のあるなしに関わらず、お客様が不満を訴える行為は全てクレームであると考えましょう。
クレーム発生のメカニズム
クレーム対応を学ぶ前に、なぜクレームが発生するのかそのメカニズムを知っておきましょう。
クレームはお客様の不満から生まれます。
そして不満は、お客様が企業や商品に対して抱いている理想に比べ、現実の方が下回った場合に生まれる感情です。
例えば、味を期待して三ツ星レストランに行ったのに、全然美味しくなかったら不満を感じますよね。
これは、美味しいという理想を抱いていたのに、現実がその理想を下回ったからです。
理想と現実のギャップが大きいほど不満が大きくなり、「マズイ!」と不満を訴えたり、「今すぐ返金しろ!」と要求したりするようになります。
コールセンターや企業側からすると、突然クレームが発生したように思えますが、そうではありません。
クレームは、お客様が何らかの不満を感じたことで発生します。
そして、この「不満」にフォーカスすることがクレームを解決できるかどうかの重要なカギになります。
コールセンターにおけるクレーム対応の流れ
ここからはクレーム対応について、コールセンターでの入電から終話までの流れに沿って具体的な方法やコツを解説します。
コールセンターにおけるクレーム対応の流れは次の通りです。
- 入電①しっかり挨拶する
明るくハキハキと、誠実な対応を心がけます。
- 確認②状況を確認する
お客様が何に対して不満を抱いたのか、経緯などの詳細を確認します。
- 傾聴③不満の気持ちに寄り添う
すぐに回答するのではなく、お客様が不満を出し尽くすまで、傾聴し、場合によっては②に戻り再び状況を確認します。
- 回答④解決策や代替案を提案する
状況が把握でき、お客様の気持ちがクールダウンした頃に解決の方向性などを示します。
- 終話⑤不満を満足に、満足を感動にする
クレーム対応が終わったらそれでおしまいではありません。お客様をファンにするクロージングで締めましょう。
では、順番にクレーム対応の方法をみていきます。
①しっかり挨拶する
クレーム対応は最初が肝心です。
コールセンターでいう「最初」とは、社名や名前を名乗る第一声の挨拶のこと。
挨拶の段階では、まだ用件がクレームかどうかわからないですよね。
しかし、最初の挨拶がその後のクレーム対応の良し悪しを決めるといっても過言ではありません。
想像してみてください。
お客様は大きな不満を抱え、その怒りを早くコールセンターに訴えたいと思っています。
それなのに電話に出たオペレーターが次のような挨拶だったらどう感じるでしょうか?
とてもじゃないけど、このオペレーターに用件を伝えたいとは思わないですよね。
それどころか「その態度はなんだ!」と挨拶の仕方についてお叱りを受けてしまうかもしれません。
そのため、挨拶は明るくハキハキと、誠実さを感じさせる声を意識しましょう。
②状況を確認する
挨拶が終わるとお客様は用件をおっしゃいます。
通常の問い合わせであれば「○○について聞きたいんですけど」という感じですが、クレームの場合は主に次のようなパターンに分かれます。
- 「おたくの製品なんだけど、どうなってんの?」と不満を察してもらおうとするパターン
- 「これはクレームです」と最初からクレームであることを表明するパターン
- 「とりあえず上の人に代わって」とただ事じゃない感を出してくるパターン
- 「おいコラ、ふざけてんじゃねぇぞ!」と感情を表に出すパターン
いずれのパターンであっても、まずは何があったか状況を確認するようにしましょう。
なお、パターン1~3については「状況を確認する一言」の前に、お客様の申し出を受け止める意味でオウム返しをするのがベターです。
間違っても、お客様の言葉をそのまま受け取って回答してはいけません。
例えば、「上の人に代わって」や「社長を出して」と言われても、「社長は電話に出られません」のように言うのはNGです。
また、「おたくの製品どうなってんの?」に対しても「どうと言いますと?」と聞き返してはいけません。
どのようなパターンであっても、まずはお客様の申し出をしっかり受け止めて、状況を確認する一言を述べるようにしましょう。
状況を確認させてくれない場合
今回がクレームの最初の申し出ではなく、2回目以降の申し出、いわゆる継続案件であることもあります。
その場合、状況を確認しようと名前や連絡先などの必要事項を聞こうとしても、「さっきも言ったでしょ!」と教えてくれないことがあります。
そこでここからは、状況を確認させてくれないお客様の対応方法について解説します。
教えてくれない時は伝え方を変える
「さっきも言ったでしょ!」と状況を確認させてくれない時でも聞き方を変えるだけですんなり教えてくれることがあります。
以下は実際に僕がコールセンターで働いていた時に使っていた伝え方です。
- 全部説明してもらうわけではないことを伝える
- 時間は取らせないことを伝える
- 責任をもって対応することを伝える
ひとつずつ見ていきましょう。
全部説明してもらうわけではないことを伝える
お客様は先ほどと同じことをまた1から説明しなくてはいけないことを嫌がって「さっきも言ったでしょ!」と言ってきます。
そのため、「1から全部説明してくれと言ってるわけじゃないですよ」ということを伝えてあげましょう。
このように言われれば、「全部言う必要はないのだな」ということがわかりますよね。
時間は取らせないことを伝える
お客さまは非効率と思われる繰り返しの質問、説明が許せず「さっきも言ったでしょ!」と言っているので、「お時間は取らせませんよ!」という姿勢をみせます。
情報の聴取はあくまでも「迅速に調べるため」です。きちんと理由を伝えれば、「さっきも言ったでしょ!」と言われることは少なくなります。
責任をもって対応することを伝える
お客様からすれば、さっきまで話していた担当者に比べ、後から出た担当者とはまだ信頼関係が築けていない状態です。
「さっきの人と話せればムダなこと言わなくて済むのに!」という気持ちがあるため、後から出た担当者であっても同じように対応が可能であることを説明します。
この時、しっかりと責任をもって対応することを伝えるのがポイントです。
情報を教えてくれないお客様対応の注意点
補足として、「さっきも言ったでしょ!」と言われた時に絶対にやってはいけない対応についても解説します。
「わたくし、先ほどの者ではありませんので……」
わかります。これを言いたい気持ち、すごくわかります。痛いほどわかるのですが、言った瞬間に大火傷です。
お客さまからすれば、コールセンターにいる人たちは、皆その会社の一員であり、さっきの担当か今の担当かなんて関係ありません。
自分の情報は共有されてしかるべきと考えてるので「先ほどの者ではありませんので」というのは、ダメ絶対です。
こちらから情報を教えてしまう
では、あらかじめお客様の情報がわかっていたら「あー、〇〇さま、△△の件でございますよね」と、こちらから言ってしまっていいのでしょうか。
最近のコールセンターでは電話をかけたときにお客様番号や、暗証番号を入力させて本人確認をとっているところもあるので、そういう会社はいいかもしれません。
しかし、そうでないところはアウト。
本人確認をする前にこちらからお客様の情報をお伝えするという行為は大変危険です。
なぜなら、「本人確認もしないで個人情報を言うなんて!」と揚げ足を取られ、さらにクレームが大きくなることがあるからです。
ルールとして口頭での本人確認を必要としているのであれば、どんなに強く言われても状況確認は省略しないようにしましょう。
「さっきの人に代わって」と言われたら?
状況を確認させてくれないだけでなく「さっきの人に代わって」と言われた場合はどうすればいいでしょうか。
その場合は、
・お客さまの気持ちを受け止める
・なぜ代われないか明確な理由をお伝えする
この2点が重要になってきます。
代わることができないとわかっていても「代われません」と確認もせず断るとクレームを大きくしてしまいます。
まずは「代わってほしい」というお客様の気持ちをしっかりと受け止めてあげましょう。
また、受け止めた後は、代われない理由を丁寧に説明し、自分が改めて聞くことで時間をとらせないという姿勢をみせるようにします。
こうすることにより、大抵のお客様は「代わってもらうよりスムーズに対応してもらえそう」と思ってくれます。
③不満の気持ちに寄り添う
状況を確認できても、すぐに回答してはいけません。まずはお客様の不満の気持ちにしっかりと寄り添うことが大切です。
ちなみに、ここでいう回答とは、お客様の要望に100%沿うことができない回答を指します。
気持ちとしては、一刻も早く回答してクレーム対応を終わらせたいですよね。
しかし、お客様はまだ不満をすべて出し切っていない状態です。
それなのに、「お客様のご要望には添いかねます」「では、代わりに〇〇のようにさせていただきます」と言われたらなんだか気持ちを無視された感じがしませんか?
不満の気持ちを無視して早々に回答してしまうと、お客様の不満や怒りが再燃し、結果としてクレーム対応の時間が長くなってしまいます。
そのため、クレーム対応では必ずお客様の不満を全て聞きつくすようにしてください。
おたくの店舗の従業員、とにかく態度が悪すぎなんだよ! あんなやつ今すぐクビにしろよ!
(それは無理だけど、まずは気持ちに寄り添って……)ご不快な思いをさせて申し訳ございません。態度以外にも気になる点はございませんでしたか?
僕の経験ですが、とんでもなく大きなクレームでも不満の気持ちにしっかりと寄り添うことで、「なんかスッキリしたからもういいや」と言われ収束したケースもあります。
ちなみに、状況確認や傾聴は通話時間の9割前後費やすようにしてみてください。
ほとんどの時間を気持ちに寄り添うことに費やせば、お客様は不満を出し尽くすことになります。
そして、「話を聞いてくれた」という満足感も相まって、こちら側の提案も聞き入れてもらいやすくなるのです。
結果として、すぐに回答するよりクレーム対応の時間を短くできるわけですね。
お客様の気持ちに寄り添う方法
お客様の気持ちに寄り添うためには、次の2つが大切です。
順番に見ていきましょう。
自分をお客さまの代表者と考える
コールセンターでは、しばしば「オペレーターは企業の顔」などと言われます。
もちろん、それも間違いではありませんが、コールセンターのオペレーターは、「お客様の代表者」でもあることを忘れてはなりません。
コールセンターではほとんどの対応がマニュアル化されていますよね。そのおかげで新人でも比較的短い教育期間で電話デビューすることができます。
しかし、実際の業務についてみるとマニュアル通りにやっても上手くいかないことが多々あります。
とくにクレーム対応は、お客様の要望がマニュアルになかったり、ルールで要望が叶えられなかったり苦労が多いですよね。
そんな状況で「企業の顔」という意識だけで対応してしまうと、「マニュアルに載ってないので、できません」とお客様の気持ちに寄り添うことができなくなってしまいます。
そこで、お客様の代表者として、「私はお客様の声を代弁して会社に訴える立場の人間でもある」という意識を持つようにします。
コールセンターのオペレーターは他でもないお客様に1番近い存在です。
自分をお客様の代表者だと考えれば、ルール的に無理な要望を言われても「なんとかできないだろうか」と考える余裕が生まれます。
つまり、「ルールだから仕方ない」「できないものはできない」と安易に考えることがなくなるわけですね。
すると自ら代替案を提案したり、なんとか要望を叶えられないか上司にかけあったり、あらゆる可能性が考えられるようになります。
結果としてお客様の要望が叶えられなかったとしても、お客様のために奔走したということが伝われば、クレームで入電したお客様の気持ちも救われるのではないでしょうか。
お客様はひとりひとりが違います。残念ながらマニュアルにすべてのお客様を納得させる答えは載っていません。
だからこそ、マニュアルやルールの外に目を向けることで本当の意味でお客様の気持ちに寄り添ったクレーム対応ができると僕は考えています。
話を聞くスキルをアップする
お客様の気持ちに寄り添うためには、お客様の話をしっかりと聞くことが大切です。
そして、この「聞く」には3つの種類があるのをご存知でしょうか。
まず1つめの「聞く」ですが、これは自然に耳に入る時に使う聞くなので、「相手の話をよく聞く」とか「集中して聞く」という意味で使われます。
次の「聴く」は「相手の気持ちを察しながら聞く」とか「物事の背景まで考えて聞く」という時に使われます。
耳に十四の心、と書くことからもただ「耳で聞く」のではなく「豊かな心をもって聞く」という思いが詰まっているような感じがしますよね。
最後の「訊く」はごんべんが使われてますね。この漢字は他に「訊ねる(たずねる)」という読み方もします。つまり質問しながら相手の話を聞くこと。
以上のように人の話を聞くと言っても、実は3つの種類にわけることができるんですね。
さて、この話はビジネスセミナーなどでよく話されるネタなのですが、その際、「聴く」が一番大事、と言われることが多々あります。
しかし実際は相手の心情を察する「聴く」ができたとしても、「本当にそう思ってるのかな?」と確かめる手段がなければそれはただの妄想に終わってしまいます。
相手の真意を確かめるためには、質問をして確認しなければなりません。つまり「訊く」スキルが必要です。
もっといえば、相手が発言した言葉を一言一句聞き間違わずに認識しなければ、そもそも話が成り立たちません。つまり「聞く」スキルも必要になってきます。
そう、結局はどの聞くも大事なのです。
お客様の気持ちにしっかり寄り添うために、3つの聞くスキルを身に付けるようにしましょう。
④解決策や代替案を提案する
状況を確認し、お客様の気持ちに寄り添ったら、いよいよ回答です。
クレーム対応における回答でもっとも大切なことは、結論を濁さないで言うこと。
「お客様の要望について当社としましてはですね、これまでの事例に鑑みて……」のような言い方だと、「何か都合の悪いことを隠そうとしているのでは?」と不審がられてしまいます。
①お客様の要望に沿える場合、②お客様の要望に沿えずお断りする場合、③要望には沿えないけど代替案がある場合、いずれも濁さず結論をはっきり伝えるようにしましょう。
特に②の場合は、お客様が無理な要望をしていることが多いので、「もう少し粘ればなんとかなるかも」と思わせないことが大切です。
中には「お前じゃ話にならないから上司に代われ」となる場合もあるので、「会社として対応できかねます」と毅然とした態度で臨みましょう。
上司を説得するスキル
コールセンターのクレーム対応において、代替案などの回答は上司であるSV(スーパーバイザー)に確認して答えることがほとんどだと思います。
その際、お客様の不満をしっかり汲み取って、適切な代替案を用意してくれるならいいですが、面倒くさがって「無理なものは無理と言って!」など責任放棄するSVもいます。
そういうSVにあたってしまった場合は、改めてお客様の不満や要望を伝え、ただ断るだけではだめな理由と根拠を添えるようにしてみてください。
それでもダメな場合は、いったん折り返し連絡にして他のSVや、さらに上の立場の人に判断を仰ぐのもいいでしょう。
上司に申し訳ない気持ちがあるかもしれませんが、お客様の不満や、部下であるあなたの声に耳を傾けようとしない上司はいないも同然です。
「自分はお客様の代表者でもある」という気持ちで、上司に対しても毅然とした態度で臨むようにしてみてください。
⑤不満を満足に、満足を感動にする
お客様の要求に回答し、「わかったよ。今回はそれでいいよ」と言われたらいよいよクレーム対応も終盤です。
納得してくれたので一刻も早くクレーム対応を終わらせたい気持ちはわかりますが、間違っても「では、お電話ありがとうございました」とすぐに終わらせることのないよう気を付けてくださいね。
クレーム対応は最後の最後まで気を緩めてはいけません。そこで、電話を終わらせる間際のひとこと、クロージングについて解説します。
効果的なクロージングでクレーム対応を締めることができれば、不満を満足に変えたり、時には感動に変えたりすることができますよ。
クロージングの効果
クロージングは電話応対において第一声(最初の名乗りや挨拶)の次に大切なものと言われています。心理学的にも最後に与えた情報が重要な決定を左右することがある(終末効果)といわれていますね。
終わり良ければすべて良しというわけではありませんが、多少それまでの対応にぎこちなさや不満が残ったとしても、最後にスパっと決めれば、案外良い印象を与えることができるものです。
不明点の聴取と意見・要望の吸い上げ
クレーム対応にかかわらず、電話を終える前に必ず不明点がないか確認しましょう。
ここで不明点があれば改めて内容をヒアリングして、質問内容の解決に努めるようにします。
特に不明点がなければ「いや、大丈夫」などの返答があると思います。
さて、多くのコールセンターは不明点がないとわかったところで「お電話ありがとうございました」と対応を終わらせることが多いようです。
しかし、上記にもう一言付け加えることで、不満を満足レベルにまで引き上げることができます。
それは、意見・要望の吸い上げです。
これを聞くだけで、お客様も「そういえば……」と気付いたことを仰ってくれます。
多くのコールセンターでは意見・要望の吸い上げが“やぶへび”になると考えているようですが、実際はその逆です。
お客様が抱えている潜在的な不満を放置してしまうと、再度クレームの入電があったり、サイレントクレーマー(不満はあるのに表明しない人のこと)になったりしてしまいます。
余計なことを聞いて「クレームの時間が長引いたら嫌だ」という気持ちはわかりますが、意見・要望の吸い上げは、長い目で見れば企業の成長やコールセンターの品質向上に繋がります。
クロージングでは不明点の聴取だけでなく、意見・要望の吸い上げもぜひやるようにしてみてくださいね。
クレーム対応で使いたいクロージング
クレーム対応は通常の電話対応と違って、マイナスからのスタートです。
しかし、お客様の期待を良い意味で裏切ることができれば、マイナスをプラスに転じさせることも可能です。
残念ながら不明点の聴取や意見・要望の吸い上げはマイナスをゼロにするだけであって、プラスに転じさせる力はありません。
そこで、最後の最後に今回承ったクレームについて、改めてお詫びとお礼の言葉を伝えるようにします。
この時、よくあるのが「貴重なご意見ありがとうございました」や「必ず関係部署にお伝えします」という言葉です。
しかし、お客様の中には「別に貴重じゃなくて当たり前の意見だから」や「関係部署に言ってもどうせ何も変わらないでしょ」と捨て台詞を吐いて電話を切られる方もいます。
これは「貴重な意見」や「関係部署」という言葉がどこか他人事に聞こえてしまうためです。
そのため、自らの責任で今回のクレーム対応をさせていただいたということを明確に伝えるようにします。
最後にもう一度オペレーターの名前を名乗り、いただいた意見を自分自身の肝にも銘じておくと伝えることで、他人事ではない責任感あるクロージングになります。
クレーム対応のNGワード
ここまでクレーム対応の流れに沿った基本対応を紹介しました。
しかし、クレーム対応が苦手な人は、“基本対応以前の問題”がきっかけで二次クレームに発展させてしまうことがよくあります。
基本対応以前の問題とはクレーム対応で言ってはいけないこと、すなわちNGワードを使ってしまうことです。
そこで最後に、クレーム対応で言ってはいけないNGワードを紹介します。
絶対にやめてほしいNGワード「ですから」
お客様がこちらの話をちゃんと聞いてくれないとき、イラッとすることがあると思います。とくに年配の方だと何度も同じ説明をしなければいけないことがよくありますよね
しかし、そんなときであっても「ですから」などと言ってはいけません。
お宅で買ったパソコン、ちゃんと正しいパスワードを入れているのに、間違っているとかでてくるんだよ。
かしこまりました。恐らくパスワードが誤っている可能性がございますので、パスワードの再設定方法をご案内いたします。
あぁ、そうなの。でもね、ちゃんと手帳に控えておいたんだ。これを入れているのに間違っている、とか出るんだよ。
そのメッセージは正しいパスワードが入力されていない場合に表示されるものでございます。おそらくパスワードが誤っていると思われますので、再設定の方法を……。
いやね。手帳にちゃんと書いてあるんだ。昨日までこれで入れたんだよ。間違ってるはずはないと思うんだ。
ですから、パスワードが誤っていると可能性が非常に高いので、再設定の方法をご案内してもよろしいでしょうか。
「ですから」と言いたくなる気持ちはよくわかります。
しかしこういったシーンでこの言葉を使うと「何度も同じことを言わせるなよ!」という気持ちが伝わってしまい、相手を怒らせてしまうことになります。
もし、お客さまが話を聞いてくれなかったり、こちらの提案を受け入れてくれなかったりした場合は、まずはお客様の納得できないその気持ちを受け止めてあげましょう。
こうした受け止めを繰り返していくと、そのうち「な、そう思うだろ? だからどうしてこんなメッセージが出てくるのかを知りたいんだよ」とこちらの話を聞く姿勢をみせてくれるようになります。
そういった土台を作った上で、初めて事実を伝えたり、提案をしたりするようにしましょう。
NGワードのトップ4「4D言葉」
「ですから」を代表に、他にも言ってはいけないNGワードがあります。
これらは頭文字をとってよく「4D言葉」とか言われますが、別にこの4つに限ったことでなく、相手を否定したり、バカにしたりするような言葉はすべて禁句です。
実際に否定していなくても、実際にバカにしていなくても、そのように誤解される言葉として使わないように心がけましょう。
でも
「でも」は相手が言ったことを否定する言葉ですが、否定しようと思って使う人はあまりいません。
無意識に使ってしまい、それが相手のカンに障ることの方が多いでしょう。
「でも、これって〇〇なんですよね」「でも、実際のところは△△なんですよ」という具合に口癖になっている人はぜひ気を付けてもらいたいです。
だって
「だって」なんてまるで駄々っ子のようですが、これも無意識に使っている人が多いです。
「だって〇〇じゃないですか」のように相手に同意を求めようとして使ってしまうなんてこと、ありませんか?
どうせ
「どうせ」はあまり聞いたことがないかもしれませんが、例えば「どうせ上に代わっても同じ対応ですよ」みたいなこと、たまに言っている人がいます。
ですが
「ですが」も否定の言葉ですよね。
「ですが、今回のお話の場合ですと」とか「ですが、そういった手続きをされますと」のような感じです。
また、語尾で「〇〇ですが……。」とすべて言い切らずに言葉を切ってしまうのも印象が悪いです。
まとめ
クレーム対応ではお客様の立場にたって、気持ちにしっかり寄り添うことが大事です。
クレームが好きという人はいないと思いますが、クレーム=面倒な客対応と考えているうちは、相手の気持ちに寄り添うことはできません。
9割のクレームは必ず原因となる不満が存在します。
まずはその不満が何なのか。お客様をここまで怒らせ、がっかりさせてしまった原因は何なのかをしっかりと聞くようにしましょう。
ここまで長文の記事を読んでいただきありがとうございました。最後に少しだけ宣伝させてください。
この記事を執筆したきむにぃは、クレーム対応や人とのコミュニケーションに悩む人のために、完全オーダーメイド制の話し方レッスンを提供しています。
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つらく苦しいクレーム対応が少しでも楽になるよう、全力でサポートさせていただきます。