朝礼でのスピーチが上手くできずに困っていませんか?

「何を話していいかわからない」「毎朝話すネタがない」こんな悩みを抱えていないでしょうか?

そこでこの記事では、話し方教室の講師であり、スピーチライターでもある私きむにぃが、朝礼スピーチのコツや、スピーチネタの作り方を解説します。

朝礼スピーチはコツさえ掴んでしまえば、即興でもどんどん話が浮かんできます。具体的なネタの作り方も紹介しているので、ぜひ聞き手を「おぉ!」と言わせるスピーチができるようになってくださいね。

朝礼スピーチの困りごと

朝礼スピーチで困る人

「朝礼やスピーチが苦手」ということはわかっていても、具体的に何が原因で苦手と感じているのか、わかっていない人が意外と多いものです。

実際、あなたもなぜ朝礼が苦手なのか、上手く説明できないのではないでしょうか?

もし「朝礼が苦手」「スピーチが下手」ということを自覚しているのであれば、まずはその原因を特定することから始めましょう。

ここからは朝礼スピーチが苦手な人の主な原因を3つ紹介しますので、どの原因に当てはまるのかチェックしてみてくださいね。対策方法については、その後に解説します!

緊張してしまう

朝礼では比較的多くの人に注目されるため、緊張してしまうという方がいます。特に人前で話慣れていない人は、緊張の度合いも高まるのではないでしょうか。

程よい緊張なら問題ないですが、過剰な緊張状態、いわゆるあがり症が出てしまうのであればなんとかしなければなりません。

例えば、あなたも次のような緊張状態になっていませんか?

  • 頭の中が真っ白になって言葉が出てこない
  • 手足が冷たくなってガタガタと震えてしまう
  • 口の中が乾いてしまい声が上手く出せない

このような状態になってしまうと、朝礼で何かを伝えるという以前に、聞き手から「この人大丈夫かな?」と心配されてしまいます。

話し方やスピーチの内容をどうこうする前に、まずはあがり症を改善する必要があると言えるでしょう。

ネタがない

ネタ帳

朝礼を行う際、何を話せばいいのかネタがなくて困ることはありませんか?

スピーチのネタを考えるために、書籍を読みあさったり、その日の新聞やテレビから何かいいネタはないか探したり、毎日苦労されているのではないでしょうか。

また、せっかくネタを見つけることができても、それを自分の言葉に変えて話すことができず、単なる引用で終わってしまうということもあるかもしれません。

朝礼であなたのスピーチを聞いている側からすれば、書籍やニュース、テレビの情報をそのまま話されても「だから何?」という感じになるでしょう。

そういったことがないように、ネタ作りと、そのネタをどう伝えるかといったスキルは是非とも身につけておきたいものです。

面白い話がない

つまらなそうにする女性

せっかく人前で話すのだから、少しくらいユーモアがあった方がいいですよね。そこで、意気込んで面白い話をしてみたものの、「あれ? 思ったほどウケないぞ」なんてことになったことはないでしょうか?

面白い話と思ってしたのに相手の反応が悪いと、スピーチをしていても楽しくないですよね。

スピーチが苦手な人というのは、他人から評価されないことに対しても苦痛を感じています。頑張ったのに上手くいかない、頑張ったのに評価してもらえない。あなたもこんな風に感じてはいないでしょうか?

そうなると、やはり相手から良い反応がもらえる話し方ができるようにならないと、いくらネタがあってもスピーチを続けるのが難しくなると思います。

では面白い話をするためには、どうすればいいのか? 必要なのはユーモアのセンスか、それとも話し方のテクニックなのか……。

次からはそんなスピーチの困りごとを解決するための、具体的な方法について解説します。 

朝礼のスピーチで緊張しない方法

緊張の原因は脳の捉え方

なぜ人前で話そうとすると緊張してしまうのでしょうか。原因はいろいろありますが、大きな原因としては「人前で話す」という行為があなたの脳にとって危険な行為だからです。

例えば、あなたは人前で話す時に次のような不安を抱えていないでしょうか?

  • せっかく練習したのに成果が出せなかったらどうしよう
  • 失敗して上司から「使えないやつ」と思われてしまうかもしれない
  • 人前で話すことができないダメな奴というレッテルを貼られないだろうか
  • 周りは優秀で話し上手なのに自分は下手だから情けなく感じてしまう
  • みんなが自分に注目し期待しているのだからミスは許されない

こうした不安はすべて脳にとってストレスです。脳は本能のまま動こうとするので、ストレスを感じたらそれを危険と認識して回避しようとします。

そして危険から身を守るために「緊張」というアラートを出し、その場を回避しようとしているのです。

緊張が不安(=危険)から作り出されるものだとするなら、まずはその不安を消し去ることが必要です。朝礼のように人前で話すという行為が危険なことではない、と脳が理解すれば、過度な緊張もなくなります。

でも「不安を消せないから困っているんじゃないか!」と思いますよね。そこでよく考えていただきたいのですが、その不安はあなたがどうにかして解決できることでしょうか?

先ほど例にあげた不安はすべてあなただけではどうにもできないことです。例えば「使えないやつ」と思うかどうかは、あなたではなく相手が決めることです。

どうにもできないことで悩んだり不安になったりすることは、ハッキリいって無駄ですよね。無駄なことで不安になり、それが原因で緊張状態を作り出している。冷静になって考えてみれば馬鹿らしいことです。

そのため、過度な緊張を作り出さないためにも、無駄なことで不安にならない、悩まないということが必要です。

自分でどうにもできないこと、解決できないことは、考えるだけ無駄。無駄なのだから考えるのをやめよう。そのように割り切ってみてください。それだけで今までのような緊張はスっとなくなりますよ!

ネタ切れの心配なし! 無限にスピーチネタを作る方法

ネタを作る方法

ネタの語源は種(タネ)を逆さまにした言葉です。江戸時代、逆さ言葉が流行ったらしく、寿司の種を寿司のネタと言い始めたことから、今のように定着していったといいます。

元の意味に立ち返って考えてみると、ネタ、すなわち種というのはそのモノの中に元々あるものです。リンゴを半分に割ってみても中から出てくるのはリンゴの種であって柿の種ではありません。

話の種、つまりネタもそれと同じで、ネタというのは自分の中に元々あります。偉人や著名人の名言というのは確かに魅力的ですが、それはあくまでもその人たちのネタであって、あなたのネタではないのです。

そう考えると話のネタはどこかから引用してくるのではなく、すべて自分の中にあるもので作り出すことができます。作り出すというより、見つける、気づくといった方が近いかもしれませんね。

例えば「今朝食べた朝食はパンだった」とか「最近、スマホのゲームにハマっている」というような話も十分話のネタになります。

「え? そんな普通のことで朝礼のスピーチに使えるの?」と思うかもしれませんが、使えます。詳しいことは後述の「ネタの作り方」で解説しますが、ネタが自分の中のあらゆることから作れると考えればネタ切れの心配はもうなくなりますよね。

朝礼で面白い話をする必要はありません

コメディアンが使うマイク

上手な人の朝礼やスピーチを聞くと、ほどよく笑いが入っていて、楽しい気分になりますよね。自分もああいう風にユーモアのセンスがあればいいのになぁ、と思っている方も多いと思います。

しかしよく思い出してみてください。スピーチが上手な人たちの笑いというのは、いわゆるお笑い芸人がやるような狙った笑いとは少し違いますよね? 大爆笑というよりは、クスっと心が和らぐような笑いです。

彼らはスピーチで聞き手を笑わせようと思っているのではありません。自分が伝えたい話をより理解してもらうために、共感してもらおうと考えています。そして、その共感が「あぁ、確かに!」という和やかな笑いに変わるのです。

例えば、TEDという講演会に出演したドリュー・ダドリー氏は、「自分の人生に影響を与えた人にきちんと感謝の気持ちを伝えよう」という話する際、次のように言いました。

誰かの言葉や行動が根本的にあなたの人生をより良くしたことはありますか? それをその人に伝えた人はいますか? なぜしないんですか? 誕生日は祝いますよね。365日間死ななかっただけなのに(笑)。

ドリュー・ダドリー「身近にあるリーダーシップ」より

最後の「365日間死ななかっただけなのに」で笑いが起こるのですが、これは笑わせるために言ったのではありません。「自分の人生をより良くした人になぜそのことを伝えないのか」ということを強調するために言った言葉です。

そして、聞き手は「確かに普段そういうことは伝えないくせに、365日間死ななかっただけの誕生日を祝うなんておかしいよな」と共感して笑いになるわけです。

スピーチでは面白い話をする必要はありません。お笑いのプロではないので、狙った笑いはスベるだけけです。それよりも、伝えたいことを補足したり強調したりする目的で共感できる一言を考えてみてください。

聞き手が「あぁ、確かに!」「わかるわかる!」という一言をいえれば、自然と笑いが起こるはずです。

朝礼スピーチの作り方4ステップ

ここからはいよいよ朝礼スピーチの作り方を解説します。今回はわかりやすいようにスピーチの作り方を4つのステップに分けました。

  1. テーマを設定する
  2. ネタを見つける
  3. 原稿を作る
  4. 練習する

各ステップで解説をしながら、最終的にどういったスピーチになるのか具体的な例文も載せています。まずは読んでみて、それから同じような手順でぜひあなたも挑戦してみてくださいね。

Step1.テーマを設定する

スピーチをするために最初に考えなければならないこと、それは「伝えたいこと」を考えることです。この伝えたい事をテーマといいます。テーマは1つのスピーチに対して1つのみ。2つ以上あると「結局何が言いたいの?」となってしまいます。

会社の朝礼では会社の状況、社会情勢、社員の勤務態度などから課題がないかを考えてみるといいでしょう。課題をみつけ、それをどうすべきかということを考えれば自然とテーマが出てくるはずです。

例えば、あなたの部署の課題が、毎日ただ作業をこなすだけで、仕事に磨きをかけない社員が多いことだとします。そしてその課題はどうすべきかというということを考えます。すると、こんなテーマ(=伝えたい事)が出てくるのではないでしょうか。

テーマの例

成長を続けることは自分のためにも他人のためにもなる。

今の仕事に磨きをかける、つまり成長することは自分自身のスキルアップになるだけでなく、上司や同僚を助けたり、顧客を満足させたりすることができる。このことをテーマとして設定できるようになります。

Step2.ネタを見つける

テーマの設定ができたら、次はネタを見つけます。スピーチにはネタが不可欠です。もしテーマだけ決めてスピーチをしようとしても、話が短くなる上に説教くさくなってしまいます。

みなさん、仕事をする上で大事なことが何かわかりますか。それは成長です。成長を続けることは、あなたのためだけでなく、あなた以外の人のためにもなります。だから、日々成長していきましょう。

こんな話を聞かされた日には、うんざりしてしまいますよね。「成長しよう」ということを伝えたいのに、モチベーションが下がる一方で本末転倒です。

そこで、テーマを伝えるのにふさわしいネタがないかを考えます。先述したように、ネタはすでにあなたの中にあります。昨日のこと、一週間前のこと、子供の頃のこと、なんでもいいので、テーマに沿った体験や出来事がないか思い出しましょう。

「成長」したことで「自分」や「他人」のためになった出来事という観点で探してもいいですし、誰かが「成長」したことで「その誰か」や「自分」のためになったということでも大丈夫です。

例えば、あなたが親なら子供の成長は毎日見ていますよね。そんな成長にまつわる次のような出来事がないか考えてみましょう。

ネタの例(=テーマに沿った体験や出来事)

3歳になる息子のオムツが外れた。今ではひとりでトイレに行けるようになった。その度に「すごいでしょ」と褒めて欲しそうにする。

こんなプライベートな話を会社の朝礼で話していいのかと思うかもしれませんが、むしろ全然ありです。たとえプライベートな話だとしても、テーマと関連していればそれで問題ありません。

Step3.原稿を作る

ネタが見つかったらいよいよ原稿づくりです。

朝礼スピーチは短くて1分、長くても3分程度です。朝は忙しく、連絡事項なども多くあるため、あまりダラダラ話さないことが大切です。

スピーチが苦手な人は、つい話が横道にそれたり、収集がつかなくなったりして、手短にスッキリ話すことができません。事前に原稿を作っておくことで、余計な話をしてしまうリスクを最小限にすることができます。

ところで原稿作りというと、作文用紙にしっかりと清書するようなイメージがありますよね。しかし、毎日そんなことをしていたらいくら時間があっても足りません。そこで、原稿というのはあくまでも話の流れを把握するメモ程度のものと考えるようにしてください。

作文のように口語体で細かく書いてしまうと、そのまま丸暗記しようとして不自然なスピーチになってしまいます。また途中で原稿を忘れて次の言葉が出て来ないなんてことにもなりかねません。そのため、次のような「流れ」を意識した原稿を作ります。

原稿例

テーマ「成長を続けることは自分のためにも他人のためにもなる」

①成長し続けること大切だ。
②なぜなら自分のためにも他人のためにもなるから。
③最近、3歳の息子のオムツが外れて一人でトイレができるようになった。息子はその成長を実感している。親である私もそれをみて嬉しく思い頑張ろうと思える。
④仕事も同じではないだろうか。成長は自分のためだけではなく、他人のためにもなる。だから成長を続けることは大切だといえる。

ものすごくざっくりしていますが、とにかくどこで何を話すかという順番さえわかっていればそれでOKです。

Step4.練習する

原稿ができたら、出来る限り練習をして本番に備えます。練習の仕方は、原稿に書いてある流れだけを頭の中にしっかりと叩き込み、その流れに沿って自然な口調で話してみます。

ここでお気づきの方もいると思いますが、今回紹介する朝礼スピーチのやり方は原稿文をしっかり暗記する方法ではありません。伝えたいことと流れだけを暗記して、中身はフリートークにするというやり方です。

プロのスピーカーは丸暗記でも自然に話すことができますが、そうでない人は不自然になったり内容を忘れたりするリスクがあります。そのため、基本的には2割暗記(流れだけ覚える)、8割フリートークというイメージでやってみてください。

この練習を10回もやれば、何も見ずに流れに沿った話ができるようになります。どうしても不安ということであれば、流れを書いたメモ(原稿)をお守り代わりに持っておきましょう。万が一途中で忘れてしまっても、いつでもメモを見ることができると思えば、安心できます。

さて、この練習方法でやってみると、次のような朝礼スピーチができると思います。

朝礼スピーチの例文

みなさんは今、自分を成長させるために何かに取り組んでいますか? なんでもいいです。仕事はもちろん、将来のための勉強、趣味のゲーム……。いろいろあると思いますが、成長し続けるということはとても大切なことだと思います。

なぜなら、成長を続けることは自分のためになるだけでなく、他人のためにもなるからです。成長というと、自分のためにするもの、と思いますよね。でも実はそうではありません。あなたが成長することで他人にも良い影響がある。そんなことがあるんです。

私には3歳の息子がいるのですが、最近オムツが外れて一人でトイレに行けるようになりました。息子は用を足すと嬉しそうに「できたよ!」と報告してくれます。ついこの前までお漏らしをして泣いていた子が本当に嬉しそうにしている。それだけで私は暖かい気持ちになります。そして私ももっと頑張ろうと思える。たまにお尻を拭くのを忘れて報告しに来てくれる時は、その気持ちも半減しますが(笑)。

成長は自分のためにも他人のためにもなる。これは仕事でも同じではないでしょうか。スキルアップのために仕事に磨きをかける。そうすれば評価されるようになります。そして、高い品質の仕事は、周囲に良い影響を与えます。最終的にはそれが顧客の満足度にも繋がるでしょう。だから、成長をし続けるということはとても大切なことだと私は思います。

まとめ

ここまで、朝礼スピーチのコツや作り方について解説しました。

ネタに関しては多くの方が「ためになること」と考えているようですが、本記事を読んでいただければ、ネタは自分の中にあるもので良い。そして、ネタは設定したテーマによって活かされるということがよくわかったと思います。

この手順にそって朝礼スピーチを作り、日々練習、実践していただければ、もっともっと効率的にできるようになります。最終的には原稿を用意しなくても、頭の中だけで話を組み立てて、即興でスピーチするということもできるようになるので、ぜひ今日から試してみてくださいね。

というわけで今回は、朝礼スピーチのネタや作り方で悩んでいる人のために、スピーチのコツや作り方を解説しました。

さいごに

きむにぃ
きむにぃ

ここまで記事を読んでくださりありがとうございます! この記事を執筆した私は、スピーチライターとして主に経営者のスピーチ原稿作成やレクチャーを行っています。

これまで会社内での朝礼・研修などを始め、商工会議所での挨拶、ロータリークラブの例会、市議会議員立候補者の選挙演説などさまざまな場面でのスピーチ作成をお手伝いさせていただきました。

上手にスピーチをするためには、自分で勉強してやる方法と、プロのスピーチライターにサポートを依頼するという方法があります。

特に経営者の方は忙しく、ネタを洗い出したり原稿を作ったりする時間がないですよね。そんな時、専属のスピーチライターがいれば、時間を最小限にして、聞き手の心を動かす魅力的なスピーチができるようになります。

「上手くスピーチをしたいけど、どうやって話を組み立てていいかわからない」「伝えたいことは山ほどあるのに、言葉にしたり表現したりするのが苦手」という方は、ぜひ一度私きむにぃに相談してみませんか?

あなたの想いを言葉にするお手伝いをさせてください。