どうも、教え方と伝え方のスーパーバイザー、きむにぃ(@kimuniunchi)です!

ここ最近、企業における働きやすさとか働き方改革(政府のじゃないよ)、みたいなのが話題になることが多いですよね。

僕は、現在休職中で、ちょっと前まで会社に行っていたわけですけど、正直休職直前まで、自分の会社が「働きづらい」なんて思っていませんでした。

https://atama.co.jp/entry/adaptation-disorder/

適応障害とか休職中と書くと「よほどのブラック企業なんだろうな」と思われるかもしれませんが、僕の会社は超絶ホワイトです。1分単位でお給料出るし、残業もほとんどありません。福利厚生も充実してます。

じゃあなんで適応障害になって休職しているかというと、僕にとっては「働きづらかった」ということになるからだと思います。会社が与えてくれるものには何の不満もないし、こうして休職という制度をしっかりと使わせてくれることは本当にありがたいと思っています。

しかし、自分がこの会社で前向きに働いていこうと思えるかというとちょっと微妙なんです。ブラック務めの人からすれば「何をゼイタクな!」と思われるかもしれませんが、すみません、本当にそう思ってるいるのだから仕方ない……。

そこで、改めて「働きやすさとは何か」ということを考えてみました。

働きやすさって好き勝手できること

もう究極の答えが「働きやすさとは自分の好き勝手に働けること」だと思うんですよね。

いや、そんなことしたら会社まわんねーよ、と総ツッコミをいただきそうですが、「働きやすさ」を突き詰めたらそういうことになるんじゃないですか?

会社とか他人とかどーでもいいから、自分の好きなように働かせてくれる会社というのが「働きやすい会社」だと思うんです。

僕も一応大人なので、そういう考えを貫くと会社が立ち行かなくなって「働きやすさ」どころか「働く場所」さえ失ってしまうことくらいわかります。

ただ、真の働きやすさを考えるのであれば、いったん「会社」とか「他人」といった要素を排除して、自己中心的に考えてみるべきだと思うんですよ。

企業が取り組む働き方改革の問題点

僕の会社含め、今どの企業でも「働き方改革」みたいなのをやってますよね。「ESなくしてCSなし!」って感じで。まずは従業員の満足度を上げることが最重要課題になっている会社も少なくないと思います。

ただね、会社発信でする「働き方改革」なんてたかが知れてるんですよ。休憩室にマッサージチェアを置きましょう、とか強制退社デーを作りましょう、とか週休3日制にしましょう、とか……。

もちろん無いよりは有った方がいいから導入している企業も多いし、喜ぶ人もいるわけですが、ぶっちゃけどうです? それで働きやすくなるんですか?

すみません。こういうのって「うちは働きやすい環境を用意してやってるぞ」って上から目線に言われているようにしか思えないんですよね。

そもそもの話、働きやすさとか働き方改革って誰のためにやるんでしょうか。

他でもない、従業員のためですよね。じゃあ、その従業員全員が「働きやすい」と思うことを全部導入しなきゃダメじゃないですか。

  • マッサージチェアだけじゃなく、ドリンクバー(アルコール付き)も設置してほしい
  • 強制退社以前に、就業時間を4時間にしてほしい
  • 週休3日じゃなくて週に3日しか働きたくない

ほらほら、社長さん。こういう人たちはどうするんですか? この人たちの要望も聞いてあげなきゃ「働きやすい会社」にならないですよー。

……気づいたと思いますけど、働きやすさというのは、人によってまるで違います。

反対にマッサージチェアもドリンクバーもいらないから、仕事机をもっと広くしてくれればそれでいい、という人もいるし、早く家に帰りたくないからなるべく残業したい、という人だっている。一般的な「働きやすさ」を求めていない人たちだって少なからずいるわけです。

つまり「働きやすさ」というのは一人ひとりの価値観で変わってくるものなので、それを画一的に「こうしたら働きやすい」と決めつけ提供しても何の意味もないんです。

じゃあ従業員の要望を全部聞けってこと?

いやいや、一人ひとりの従業員が要望する「働きやすさ」にすべて応えるなんてことはまず不可能でしょう。お金がいくらあったって足りません。

だから、そんなマジョリティ向きのポーズみたいな働き方改革なら、いっそやらない方がいいということを言いたいんです。完全に置いてけぼりじゃないですか、マイノリティ。何がダイバーシティだよって話です。

いいですか。もう一度確認ですが働きやすさとか働き方改革って誰のためにやるんでしょうか。

他でもない従業員? それって建て前ですよね。「働きやすさ」ってことはその背景には「働く」が存在します。働くって誰のため? 働いて得するのは? 答えはその従業員を雇ってる企業です。企業のために働いているんですよ、僕ら。

「働いたらお給料もらえるんだから、従業員のためでもあるのでは?」と思うかもしれませんが、そりゃ当たり前です。お給料は労働に対する対価なんだからもらって当然なんですよ。

だから従業員は働きやすくなったところで損はしないけど、一切「得」なんてしない。従業員が働きやすくなって、働いてもらうことで得するのは他でもない企業です。

「そんなの当たり前じゃないか。働くってこと自体、その企業が存在しなければできないことなんだし、それが資本主義のしくみだろ」

えぇ、そうですね。それはおっしゃる通りですよ。従業員が働き、企業に貢献して、企業が成長して、従業員がその恩恵にあずかる。

でもそれって「従業員がいなければ企業は成り立たない」とも言えるわけですよね? 現に採用難とか離職率の高さとかそういう問題があるから「働き方改革」してるんじゃないですか。

そうすると企業のための従業員っていう考えはもう捨てた方がいいと思うんです。「働きやさ」「働き方改革」で最大の恩恵を受けるのが「企業」じゃダメなんです。あくまでも「従業員のための働き方改革」じゃなきゃ根本的な解決にはならない。

従業員が最大の恩恵を受け、その余を企業が受けとるくらいな気持ちでないと真の「働きやすさ」「働き方改革」は実現できません。

仕事ありきで考えるからおかしくなる

本来、従業員のためにあるべき働きやすさ、働き方改革を、会社や仕事ありきで考えるからおかしくなるんです。上っ面だけの働き方改革は、一部の人や、一時的には効果があっても継続的かつ全体的な「働きやすさ」にはつながりません。

そこで、僕が提案したいのは「個人の人生ありきで仕事や会社の在り方を考える」ということです。会社のための従業員ではなく、従業員の人生のための仕事あるいは会社になるようなしくみを作ることができれば真の働きやすさが実現できるのではないでしょうか。

「それって結局、従業員の要望を全部聞くことでは?」と思うかもしれませんが、ちょっと違います。

みなさんの会社には「目安箱」みたいなものってありますか? 働き方改革をする企業では「まず従業員の声を聞いてみよう」とアンケートをとることが多いようですが、ハッキリいってあれ、無意味です。

うちの会社も働き方改革の一環としてアンケートをとったことがあります。それで「冷蔵庫を置いてほしい」「仕出し弁当が頼めるようにしてほしい」という要望が結構あって、すべて応えたんですが、蓋を開けてみたら冷蔵庫も仕出し弁当もほとんどの人が利用しませんでした。

実はこのように「働きやすさ」を従業員に尋ねてみても、その従業員すら本当の働きやすさが何かわかっていないことの方が多いんです。マーケティングの世界ではよくいいますよね。”顧客は自分のニーズに気づいていない” と。

あれと同じで、従業員も「働きやすい会社で働きたい」と漠然と思っていても、そのために何が必要か、または何が無い方がいいのか、ということを具体的に語れる人はほとんどいません。

あなたはどうですか? どういう働き方をしたいですか? どういう会社なら働きやすいですか? ね、意外とパッと出てこないもんでしょ。

どうして具体的に出てこないかというと、僕ら従業員側も無意識のうちに「会社ありき」「仕事ありき」で考えているからなんです。

要望を出せ、と言われても「こうしたいけど、ちょっと非現実的だな」とか「こうしちゃうと会社が回らなくなるな」とつい考えてしまいますよね?

これって全然自己中心的になれていないじゃないですか。自己中心的に仕事や他人のことなど考えずに要望できればいいのですが、ほとんどの人は「まあこれがあれば少し働きやすいかな」くらいな要望しか出せないのです。

で、企業側は「なるほど、これがあればいいのだな」とわかったつもりで応えてみせますが、そんなものはニーズでも何でもありませんから、働きやすさにつながることはありません。

つまり、真の「働きやすさ」を考えるためには、仕事や会社ベースでなく、従業員個人の人生をベースにして、どう働きたいのか、ということを考え、そこから仕事の内容を決めるという順序にする必要があるのです。

個人の人生、夢をベースに考える

それでは「個人の人生ありきで仕事や会社の在り方を考える」とはどういうことなのか、具体的に説明していきましょう。

Aさんという会社員がいて、その人は会社員としてではなく、いつか司法書士の資格をとって独立したいと考えているとします。

これを一応Aさんの「夢」と呼んでおきましょう。

そうするとこの夢を叶えるためにはまず勉強して資格をとる必要があります。勉強するためには「時間」が必要です。普通に働いていた場合、それらは仕事をしている時間以外でねん出しなければなりません。

また、司法書士試験は難易度の高い試験であるため、独学での取得はなかなか難しいです。そうすると資格取得対策スクールに通うなど、「お金」もかかります。

時間をねん出しようとすると、お金を稼ぐことができなくなり、お金を稼ごうとすると時間をねん出することができなくなってしまう。

つまり働きながら士業を目指す人は、時間かお金か、どちらかに余裕がなければ、夢を叶えることが難しいということになります。

しかし、もし働く時間が8時間でなく、5時間だったら? 資格取得のためのスクール費用を会社が出してくれたら? 夢を実現するための距離はグっと近くなりますよね。

つまりAさんにとっての「働きやすさ」は「司法書士になる」という夢を実現するために、勤務時間を減らし、勉強のためのお金の不安をなくすこと、といえるのではないでしょうか。それを叶えてくれる会社だったら「働きやすい会社」といえますよね。

一方、Bさんは得意の語学力を活かして、将来は輸入販売を専門とするECサイトを立ち上げたいと思っています。

現在はその下準備として、休みの日は海外へ行き、商品の買い付けや取引してくれる業者を探していますが、コネも経験もないため、なかなか相手にしてもらえません。

単発的な休みを利用するのでは限界があり、また個人であるため信頼を構築するためには相当な時間を要することになります。

しかし、もし会社が交渉などの下地づくりをするための長期休暇を与えてくれたら? 会社が海外の業者を紹介してくれるなど間に入ってくれたら?

こういうことを叶えてくれる会社は、Bさんにとって働きやすい会社といえますよね。

他にも……。

  • 家族との時間を大切にしたい → 時短勤務にする、土日祝休みにする
  • とにかく昇進して役職につきたい → 管理職の経験をさせる、昇進試験を受けさせる
  • 大企業への転職 → 実績を作らせる、ヘッドハンターへ推薦する

というように、個人の人生や夢を起点にして、会社が従業員の希望にマッチするような働き方を提供できれば、誰にとっても真に「働きやすい会社」になります。

理想的だけど現実には難しいのでは?

誰もがこのように働くことができたら理想的だと思うのですが、これを実現することで生じる問題もいくつかあります。

生活できなくなる

Aさんのように時短勤務にしたり、Bさんのように長期休暇を取得したりした場合、働いていない時間のお給料はでません。

いくら自分がやりたいことができるからといっても、生活をするための最低限のお金は必要です。そのため、どのような働き方をするにしても、生活が保障されるしくみがなければいけません。

売り上げが落ちてしまう

個人の人生や夢をベースに会社が仕事を与える場合、会社は従業員にやってほしい仕事を与えられなかったり、従業員のために新たな仕事を創出したりする必要があります。

そうすると会社が期待していた売り上げが達成できないことも考えられるでしょう。

離職率は減らない

AさんもBさんも、いずれは独立することが最終的な目標となっています。会社がそのためのサポートをすれば、Aさん、Bさんにとってその会社は最高に働きやすい環境となりますが、それは離職を促進させているということもできます。

会社からすれば「働き方改革」は、なるべく長く在籍して会社に貢献してもらうため、という目的も含んでいるはずですが、独立や転職を目標とする従業員が多い場合、離職率は減るどころからむしろ高くなってしまいます。

僕が考えた働きやすさ実現プロセス

真の働きやすさを実現するためには、上記のような問題を克服する必要があります。せっかく働きやすい会社になったのに、その会社が立ち行かなくなっては意味がありません。

そこで、従業員に働きやすさを提供することをひとつの投資と捉え、将来的にはその投資費用を回収するしくみを作ってみてはどうでしょうか。

簡単ですが、そのためのプロセスを考えてみました。

会社と一緒に人生設計をする

個人の人生をベースとした働き方にするわけですから、従業員がどういう人生を歩みたいか、どういう夢を実現させたいのか、ということをまず会社側が把握しておく必要があります。

そのために会社側は従業員から理想の人生をヒアリングして一緒に人生設計をしていきます。

面接時にキャリアプランを確認するところは多くありますが、それは目標の設定力を確かめたり、会社の目標と一致しているかを確認したりするためのものです。

ですから、「この会社を通してやりたいことは?」ではなく「どういう人生にしていきたいの?」というようなことを聞き、潜在的な部分にまで掘り下げて人生設計を行っていきます。

実現のために必要なことを洗い出す

従業員の理想とする人生がどういうものかわかったら、その人生を実現するために何が必要か、また実現の障害となるものを一緒に考え洗い出していきます。

例えば、先のAさんでいえば必要なものは時間であり、障害となるものは時間を得ることで減る収入です。

こうした洗い出しをしておくことで、どこまでなら会社で対応ができるか、ということがわかるようになります。

この時、従業員側に妥協できることと、できないことも確認しておきます。Aさんに関していえば、時短で5時間勤務は絶対だが、スクールに通うお金は出してもらわなくてもよい、などです。

回収の手段を考える

会社側からすればここが一番大事なところになります。

というか、どの会社でも新入社員がいきなり即戦力になることはありえませんから、従業員を雇うというのはある意味、会社は投資しているのと同じことになります。

しかし、リターンは将来的に「直接会社に貢献してもらう」ことで回収しようと考えているはずです。

ここを、直接的だけでなく「間接的」なものや、企業価値の向上なども含めて考えてみます。

Aさんの例では、Aさんが晴れて司法書士として独立した際、相場より安い価格で顧問契約するとか、Bさんの例では、Bさんのサイトで無償で会社の宣伝をしてもらう、とか直接的ではないですが、そういう回収方法も考えてみます。

また、こういう取り組みをしている会社は今のところないですから、いろいろなところで話題になり、採用難の問題などが解消されたり、取引先企業が増えたり、反対にもっと大きな企業が出資してくれたりする効果も期待できます。

投資とリターンのバランスを考える

そのように回収手段やおおよそのリターンが計算できたら、初めてAさんのために投資できる金額も試算することができます。

5時間勤務もスクール費用のサポートも両方叶えられるのか、5時間勤務は可能だけど、スクール費用までは出せないとか、改めて現実的にどこまでAさんの「働きやすさ」を実現できるかを話し合います。

そうした話し合いを重ね、お互い納得したところで労働契約を結ぶ、結びなおすなどします。します。

とりあえずやってみては?(一応まとめ)

とまあ、ここまで色々書きましたが、実際はやってみないとわかんないですよね。だったら、一度やってみませんか?

僕は社長でも何でもないので、経営者目線で考えれば「何を甘っちょろいこと言ってんだ」と怒られてしまうかもしれません。

けどリスク分散のために不動産や株式に投資できるんだったら、労働者に対しての投資をもっとしてみてもいいのでは? とも思います。

よく「人材は”人財”だ」といいますが、あれはその会社の経営資源としての「財」なわけですよね。

そうでなく、ヒトを社会全体の共有物としての「財」と考えれば、巡り巡って自分の会社が恩恵をあずかることだってあると思うんですよ。これだけヒトもモノも流れる時代になっちゃったんだから、独占することの価値ってもうあんまりないのかなーなんて。

……そろそろまとまりのない文書になってきてしまったので、今日はこの辺で終わりにしたいと思います。

この記事を読んで休職中のおっさんのただの戯言と思っていただいてもいいですし、ちょっとそういうのもありかな、とかいやいや、こうした方がいいんじゃないか? ということがあれば、Twitterやコメントでご意見いただけると嬉しいです。

というわけで、今回は「働きやすさ」について本気で考えてみました。では!