会社にかかってくる電話に恐怖心を抱いていませんか?
今、若い人の間で固定電話恐怖症になる人が増えているようです。
LINEなどの文字コミュニケーションが主流の現代では、予測がつかない固定電話は確かに怖いですよね。
そこでこの記事では、コールセンター業界に15年在籍し、現在は話し方教室の講師を務めている僕が電話対応の基本をステップ形式で解説します。
なるべく取りたくない固定電話ですが、とっさの対応スキルが上がることは普段のコミュニケーション能力の向上にも役立ちます。
最後まで読めば電話対応の基本がわかり恐怖心が和らぎます。ぜひ、読んでみてくださいね!
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固定電話恐怖症とは?
固定電話恐怖症とは、会社にある固定電話を取ることに恐怖心を覚えたりストレスを感じたりすることです。
実際の病名としてあるわけではないようですが、固定電話が鳴ることで精神的苦痛を覚え、中にはうつ病などのきっかけになることもあるそうです。
ただ、昭和生まれの固定電話に慣れている世代はなりにくい症状で、あくまでも固定電話の対応に慣れていない20〜30代前半の人に多く現れるようです。
固定電話恐怖症になる原因
そもそもどうして固定電話恐怖症になってしまうのでしょうか?
恐怖症というネーミングから突如現れた奇病のように考えてしまいがちですが、若い人たちが生きている時代背景を考えると原因がよくわかります。
自宅の固定電話の保有率が低い
固定電話の保有率は年々減少しています。
総務省の情報通信白書によると、固定電話の加入数は、2001年度末には6133万件あったのに対し、2017年末には2135万件まで落ち込んでいます。
出典:総務省 平成30年版 情報通信白書のポイント
また、全体の保有率でみると71%と高いように思えますが、70%以上を保有しているのは実は40代以上です。30代は29.3%、20代にいたっては5.2%の保有率しかありません。
実際あなたも携帯電話ばかり使って固定電話を使う機会なんてほとんどないのではないでしょうか?
このようにそもそも固定電話のある環境で生活していないことが、固定電話恐怖症になる原因のひとつといえます。
相手がわからないことが恐怖
会社の固定電話というのは、誰からかかってくるかわかりません。
携帯電話ならスマホの大きな画面に発信元が表示されるので「あぁ、〇〇さんだ」とすぐわかります。
また、知らない番号だったら出ないという選択肢もとれますが、固定電話だとそうはいきませんよね。
人が恐怖心を抱くパターンはいくつかありますが、その中に未知への恐怖というものがあります。知らないことや見たことのないものに対して抱く恐怖心です。
固定電話は相手が誰か予想できないという意味で未知への恐怖を感じると言えるでしょう。
心の準備ができない恐怖
若い人たちの主なコミュニケーション手段は、LINEやメールなどの文字コミュニケーションです。
LINEやメールであれば、返事をする前に一呼吸置いてから返すことができます。送る前に文章を整えたり最近では送った後に編集したりすることもできますよね。
しかし、固定電話はかかってきたらそのタイミングで出なければなりません。また相手が用件を述べたら、それにあわせてこちらも話す必要があります。
つまり固定電話だとLINEやメールのように心の準備ができないことが大きなストレスや恐怖に繋がっていると言えます。
固定電話の取り方について教えてくれない
固定電話恐怖症について中高年の方は「まったく最近の若者は電話の取り方も知らないのか」と思うかもしれません。
しかし上記で紹介したように今の若い人たちはそもそも固定電話がない環境で育ち生活しています。
子供の頃から家に固定電話があればなんとなく親の真似でわかってきますが、今はそうではないのです。
そう考えると、固定電話の取り方について教えてくれる人がいないのも固定電話恐怖症になる原因のひとつと言えるでしょう。
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固定電話恐怖症を克服するには?
固定電話恐怖症を克服するための方法ですが、一般的には慣れることが一番と言われています。
先述したように、固定電話の恐怖心というのは未知への恐怖がほとんどです。慣れてしまえば固定電話でかかってくる相手や用件が予測できるようになるので、恐怖心は徐々になくなります。
中には「クレームで怒鳴られた過去」「高圧的な取引先の担当者が苦手」など別の恐怖心もありますが、そうであったとしても慣れることで多少の恐怖心は和らぎます。
ただ、僕はそれ以前に電話対応の全体像を知っておくことが一番大切だと思っています。
実は電話対応というのは決まりきった型があります。コールセンターでは最初にこの型に沿ったトークマニュアルをみんな覚えます。なので固定電話が怖いということはほとんどありません。
また、会社の固定電話は自分ですべての用件に対応するというより、誰かに引き継ぐことがほとんどです。
そう考えると基本的な電話対応の型を紙か何かに書いておき、その流れに沿って対応すればかなり精神的な余裕も出てくるのではないでしょうか。
引継ぎを前提にした電話対応の全体像を次の通りです。
- ステップ1挨拶+名乗り+挨拶の第一声
- ステップ2用件を聴取する
- ステップ3相手の連絡先を聴取する
- ステップ4固定電話を切る
ではこれらの電話対応の型について順番に見ていきましょう。
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ステップ1 挨拶+名乗り+挨拶の第一声
固定電話をとったら、挨拶をして会社名と自分の名前を名乗りましょう。
すぐに相手も名乗るはずなので、それを聞き終えてから「お世話になっております」ともう一度挨拶を入れます。
「お電話ありがとうございます(挨拶)。〇〇(会社名)の△△(名前)です。………お世話になっております(挨拶)。」
固定電話恐怖症の人は電話をとったものの、とっさに何を言えばいいか頭が真っ白になってしまうことがあります。
そこで、固定電話に慣れるまでは第一声を書いたカンペを用意しておき、それを読み上げるようにします。
この時、なるべくゆっくりと話すことを心がけると気持ちが落ち着きます。
また、挨拶、会社名、名前はそれぞれきちんと間をとると、余裕ができるだけでなく、相手にとっても聞き取りやすくなります。
人間の第一印象は6秒前後で決まると言われており、第一声を焦ったり早口で言ってしまったりすると相手も「この人大丈夫かな?」と感じてしまいます。
最初はカンペを見ながらで大丈夫です。ゆっくり落ち着いて話すことだけを意識してみてくださいね。
ステップ2 用件を聴取する
固定電話恐怖症の人だけでなく、コールセンターで働いている人の中にも用件聴取が苦手という人は多くいます。
用件聴取とは、相手が伝えたいことや聞きたいことを正確に聞き取って把握することです。正確に把握というと難しく聞こえますが、ある方法を使えば簡単にできます。
それは、オウム返しをすることです。
オウム返しとは相手が言ったことをそのまま繰り返す復唱方法です。例えば「先日送っていただいた見積書について相談があるんだけど」と言われたら、そのまま「見積書のご相談ですね」と繰り返します。
https://atama.co.jp/entry/oumu-kaeshi/
この時、「先日の見積書ってどれのことだろう?」と考える必要はありません。あくまでも相手が言った用件を正確に聞き取ることだけに集中します。
用件の内容を考えなくていいのは、あとで落ち着いて考えればいいからです。保留にしたり折り返しにしたり、そのタイミングで考えればいいので、内容は頭に入らなくても大丈夫なのです。
電話中に考えようとすると内容ばかり気になってしまい相手の言葉を正確に聞き取ることができません。それでは元も子もないですよね。
なのでとにかく相手が言ったことをオウム返しで復唱して、オウム返しをするタイミングでメモを取るようにしましょう。
ステップ3 相手の連絡先を聞く
相手の用件をメモすることができたら、折り返しご連絡することを伝えます。この時、折り返しの連絡先を聞き忘れないように注意しましょう。
「では一度確認させていただき折り返しご連絡いたします。恐れ入りますが、お電話番号と担当者様のお名前をもう一度お聞かせいただけますでしょうか。」
第一声のタイミングで相手の名前がわかっている場合は電話番号だけを聞いて、「折り返し先は〇〇様でよろしいでしょうか」と確認だけします。
この時、折り返し時間の目安を伝えたり、相手が電話をとることができない時間帯などを聞き出せるとベストですが、最初はそこまで気にする必要はありません。
折り返し時間の目安がすぐにわからない場合は「確認次第、ご連絡いたします」とだけ言えばOKです。
ステップ4 固定電話を切る
用件を聴取し、折り返しの連絡先を聞いたらあとは固定電話を切るだけです。
電話を切る時は、折り返し連絡を承った旨と、再度自分の名前を名乗り、最後に感謝の言葉を述べます。
「では〇〇の件について確認次第、ご連絡いたします。私は△△(名前)と申します。お電話ありがとうございました。」
最後も焦らずに、なるべくゆっくりと伝えるようにします。焦ってしまうと「電話を早く切りたがっているのかな?」と思わせてしまうので、注意しましょう。
固定電話の恐怖心を下げたいなら〇〇を気にしない
電話対応の型を身につけるだけでだいぶ恐怖心は減りますが、最後に固定電話の恐怖心を下げるポイントをもうひとつだけお伝えします。
それは、言葉の正しさをあまり気にしないことです。
日本語や敬語は正しく使えた方が良いです。しかし、正しく使うことを気にし過ぎて頭が真っ白になってしまうようでは意味がありません。
コールセンターのオペレーターでも、敬語を気にするがあまりに逆に失礼な言い方をしてしまったなんてことがよくあります。
なので慣れないうちは基本的に「ですます調」で会話できれば十分です。目的はあくまでも相手にきちんと伝わることですから、過剰に敬語や言葉遣いを意識しないようにしましょう。
https://atama.co.jp/entry/keigo/
反対に、たとえ敬語が上手に使えてても、ぶっきらぼうだったり冷たかったりした方がよっぽど失礼にあたります。
それならば、いっそ敬語表現のレベルを最低ランク(ですます調)まで下げて、相手の話を正確に聞き取ることや、明るく話すことなどに力を注いだ方がいいでしょう。
さいごに
相手が誰かわからない、何を言われるかわからないなど若い人にとって固定電話は確かに恐怖が多いと思います。
しかし、電話の型や全体像を知っておくだけでも多少なりとも固定電話に対する恐怖心が和らぎます。
固定電話というツール自体利用頻度が減ってはいますが、電話だろうと対面だろうと根源にあるコミュニケーションの本質は変わりません。
心の準備ができない状態での会話力を上げることはビジネスだけでなくプライベートでも役立ちます。
ぜひ、本記事に書いてあることを試していただき、少しでも固定電話に対する恐怖心がなくなれば幸いです。